2020年12月18日
昨今、アスリートにおけるアキレス腱の痛みを抱えている選手が多くいらっしゃいます。
アキレス腱の痛みを抱えての競技生活は、非常に辛いものがあると聞くことも多く、まして一時的なもので済む場合は少なく、長期間、あるいは選手生活の終わりまで、この問題を抱えている、そしてこのアキレス腱の痛みによって引退する選手もいます。
そのアキレス腱の痛み、アキレス腱痛、アキレス腱炎について、足指握力(足趾把持力)を鍛える、強化することによりある程度解決するものか、どうかを考察します。
アスリートに多いアキレス腱の痛み、アキレス腱炎と足趾把持力(足指握力)
との関係についての考察
2報の文献(エビデンス)
下記アドレスをクリックしてご覧になれます。
足趾把持力発揮時における下腿筋の筋活動
足趾把持力発揮時に足関節において, 手関節のテノデーシスアクション(固定筋腱作用)同様に, 下腿筋群の同時収縮,特に拮抗筋である前脛骨筋が重要 な役割を果たしていることが確認された.また,足趾把 持力の低下が単に足趾屈筋群の筋力低下のみならず,下 腿筋群,特に前脛骨筋の機能低下によっても生じる可能 性が考えられた。
足趾把持力発揮時の運動学的分析:下肢筋活動と足関節の運動分析
下肢筋の筋活動量では,足趾把持力発揮時の前脛骨筋,腓腹筋内側頭の%IEMGと足趾把持力との間に有意な正相関が認められた。これらのことから,強い足趾把持力を発揮するためには,足関節を背屈させ,足関節固定のため下腿筋群が同時性収縮を行う必要があることが示唆された。
上記2報の文献(エビデンス)から考察します。
足指握力(足趾把持力)を鍛えることで、足の筋肉、短母指屈筋、長母指屈筋、虫様筋、短指屈筋、長指屈筋が強化できます。
そして、足の筋肉である短母指屈筋、長母指屈筋、虫様筋、短指屈筋、長指屈筋などの強化に伴い、アキレス腱の補完筋肉でもある腓腹筋、前脛骨筋、ヒラメ筋、長趾伸筋などの強化につながります。
そのことは、上記2報の文献を読んでも分かります。
※上記2報の文献によると「下肢筋の筋活動量では,足趾把持力発揮時の前脛骨筋,腓腹筋内側頭の%IEMGと足趾把持力との間に有意な正相関が認められた。」「足趾把持力発揮時には下腿筋群 が同時性収縮をしており,特に前脛骨筋の働きが重要な 役割を果たしていることが示唆された」と書かれており、足趾把持力(足指握力)、いわゆる足指を掴む際には、前脛骨筋、腓腹筋を始め、下腿筋群(ヒラメ筋、長趾屈筋など)も相関(互いに関係を持つ)して動くことが判明しております。
よって、足指をトレーニングすることで、アキレス腱や靭帯を互いに補完しあう筋肉である前脛骨筋やヒラメ筋、腓腹筋などが強化でき、アキレス腱の正常な機能を引き出すことが出来ると考えられます、すなわち足指握力(足趾把持力)を強化、トレーニングすることで、アスリートに多いアキレス腱の痛み、アキレス腱炎などの問題を解決することが期待できると言うことになります。
実際に筆者である私も今から約30年前、25歳当時に草野球のベースランニング中に左足のアキレス腱を断裂し、手術後1か月の入院を余儀なくされ、その後から最近まで左足を庇うからか、右足アキレス腱の痛みに悩まされ、八方手を尽くしましたが、治ることはありませんでした。
それが、足指握力(足趾把持力)を強化、トレーニングすることにより、今では、歩いても、全力で走っても、そしてアキレス腱を直接、握っても痛みを感じなくなったことに驚いております。(もちろん、個人差がございます。)